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背骨と症状の関係

背骨がゆがむ、その理由

人体の構造は、たくさんの骨が関節で結びつき、それを筋肉や皮膚で覆っています。
その内部には、頭部には脳、胸には肺や心臓、お腹には消化器官など実にバラエティに富んださまざまな器官が入り混じり、東洋医学的にいえばまさに「小宇宙」といった観があります。


そのなかで「背骨」というのは、上方で頭がい骨、下方では骨盤とユニットしていて、その中央にあるまさに「柱」のような位置関係にあります。

「柱」といいますが、「背骨」は実は一本の棒ではなく、「椎骨」という骨がちょうどチェーンや数珠のようにユニットしていて、そのひとつひとつはいろいろな方向に動くようになっています。

この「背骨」を周囲で支えているのが筋肉で、「背骨」だけでは人体はまったく動くこともできません。

そしてその人体の「自立」をうながすのが神経系の働きで、その神経系の中枢が脳であり脊髄の働きということになります。

「背骨」がゆがむその理由は、このような〈背骨–筋肉–神経系〉というユニット構造を理解することで判明します。

端的にいえば、筋肉運動や神経系への何らかの影響があることでそれらの働きが低下して「背骨」自体にゆがみが起き、ひとつひとつの椎骨に影響をあたえ痛みや内臓系統の不調へと結びついてしまうということです。

また、内臓系統がストレスや食べ過ぎなどで不調が起きることで「背骨」がゆがむという場合もあります。
内臓系統をコントロールしているのは自律神経系ですが、その神経の出所は「背骨」です。
内臓に不調が起きると、それに関連した「背骨」が影響を受けるメカニズムは、このような神経的なつながりから理解できます。

このようなことから「背骨」がゆがむ理由は、

  • 脳・脊髄神経系の働きの低下から
  • 筋肉系統の部分的な緊張から
  • 内臓系統の不調から

ということが、主な理由として挙げられるでしょう。

ゆがみは人体に悪影響?

では、ゆがみは実際にそんなに人体に悪影響をおよぼすのでしょうか?

「左右対称でなければならない」
「完璧にまっすぐでなければならない」

このように考える向きもありますが、私は一概にそうは考えません。

なぜなら、よくよく考えると脳の働きも左右で差があるといわれていたり、内臓の配置も左右でまったく同じではないからです。

そうなると当然、脳や脊髄、自律神経系の働き自体に左右で差があることになります。

たとえば身体均整法でも、「左の異常は女性に出やすく、右は男性に出やすい」とされていて、私自身も実際の調整の場でそれを確認しています。

人体は生きている以上、外部環境や自身の内部環境の影響を絶えず受け続けています。
つまり、脳や脊髄、自律神経系は絶えず刺激を受け、それに反応していますから、「背骨」も当然その影響を受けていつも微妙には動いていることになります。

それだけでなく人体は、たとえ寝ていても絶えず心臓は動き血液は流れ、循環し続けています。
古くなった細胞と新しく生まれた細胞は常に入れ替わり、休むことはありません。

このような自発的な働き、生命としての働きがある以上、人体はいつもゆがんでは戻ることを繰り返している、といってもいいでしょう。

このようなことから、ゆがみそのものが健康に悪影響をおよぼすのではありません。
ですから、ことさらに「左右対称」にこだわる必要も、「完璧にまっすぐに」こだわる必要は、健康上からはありません。

人体に悪影響を与えるのはむしろゆがみそのものよりも、実は「ゆがんで戻っていく働き」が衰えてしまうことです。

この「ゆがんで戻っていく働き」は、脳・脊髄神経系、自律神経系、ホルモン系の働きが正常になっていくにつれ回復していきます。
それにより、筋肉の部分的緊張、つまり「コリ」や、内臓器官の働きの低下なども回復していきます。

なぜなら、結局「コリ」をつくるその原因も、脳・脊髄神経系、自律神経系、ホルモン系の働きの低下と不調和によるからです。

「背骨」の構造と機能

では最後に、「背骨の構造(しくみ)と機能(はたらき)」を列挙しておきます。

  • 背骨の構造
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上から「頚椎」が7個、「胸椎」が12個、「腰椎」が5個、「仙椎」が5個、有名な「尾てい骨」が3〜5個、というように、1つずつの「椎骨」と呼ばれる骨が連結しています。

たとえば「頚椎5番」といえば「頚椎=首の5番目の骨」、「胸椎2番」といえば「胸椎=胴体部の2番目の骨」のことを指定したことになります。


「背骨」の内部は空洞になっており、「脊髄」と呼ばれる神経の束が骨群に守られるようにそこを走っていて、「椎間孔」という、「椎骨」の間にある穴から「脊髄」よりの神経が伸びて全身へと枝分かれしています。



  • 背骨の機能

各椎骨の性質と作用
頚椎1番 迷走神経 すい臓、脳と目
頚椎2番 迷走神経 腎臓、脳下垂体、歯ぐき
頚椎3番 三叉神経、迷走神経、鼻 肝臓、肺、腎臓、脾臓、瞳孔、胃など
頚椎4番 横隔膜、甲状腺 肝臓、肺、横隔膜、耳、唾液腺など
頚椎5番 横隔膜、甲状腺 乳房、甲状腺、乳腺など
頚椎6番 血管、迷走神経 心臓、頸動脈洞など
頚椎7番 動脈系統 迷走神経、血管、脈管など
胸椎1番 上肢に影響 脳動脈、心房、肝分泌など
胸椎2番 痙攣中枢、全筋肉に関連 肝臓、心臓、胃など
胸椎3番 延髄、三叉神経 鼻根、脳など
胸椎4番 血液、中毒 胆のう、脳、大動脈など
胸椎5番 脳下垂体 腎臓、胃、副腎など
胸椎6番 消化器 腎臓、脾臓、乳腺、すい臓など
胸椎7番 副腎 心臓、脈管系、副腎など
胸椎8番 赤血球 すい臓、腎臓、肺など
胸椎9番 随意筋 筋肉、副腎、胆のう
胸椎10番 全身の力に作用 肺、胃、子宮など
胸椎11番 すい臓、肝臓、副腎 肝臓、大腸、睾丸、子宮、卵巣など
胸椎12番 腹腔(太陽)神経叢 血中の水分、胃など
腰椎1番 眠り、勃起の中枢 胃、炎症
腰椎2番 食欲 肝臓、胃、乳房、前立腺、子宮など
腰椎3番 腰の力 睾丸、卵巣、大腸など
腰椎4番 骨盤の姿勢 子宮、卵巣、膣、陰茎など
腰椎5番 行動力 膀胱、前立腺、下肢
(腰椎までを抜粋)

人体は、各器官・各系統が密接に結びつき合ったひとつの「小宇宙」です。

「背骨」のひとつひとつは、このように神経・内臓・血管・リンパなどとの深い関わりがあります。

そのメカニズムを理解しうまく利用することで、「痛み・症状」であればその因果関係をつきとめ、より深いレベルでの〈身体調整〉が可能となるのです。

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